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電気設計や回路設計がきついと言われる一番の理由は、電気の技術者が少なく、残業と複数の案件が1人に集まりやすいことです。ただし人が少ない分、電気が分かる技術者は今、どのメーカーも欲しがっています。電気の仕事を続けたまま環境を変える道も、経験を活かして別の仕事へ移る道もあります。
残業が続き、1つの案件が終わらないうちに次の案件が始まる。電気が分かる人が少なく、代わってくれる人もいない。「他にも自分の経験を活かせる場所があるのでは」と考え始めて、この言葉を検索した方もいるでしょう。
- 残業が多い状態がずっと続いている
- 複数の案件を同時に抱えている
- 電気の担当が少なく代わりがいない
- 他でも経験を活かせるのではと思う
- この経験が他の会社で通用するか分からない


私は前職の転職エージェントで、企業と求職者の両方を1人で担当しながら、製造業の技術者の転職を支援していました。採用する側の見方も踏まえて、電気設計がきつい理由と、電気の技術者が実際に移っていった転職先5つをお伝えします。
電気設計・回路設計がきつい理由

電気設計と一口に言っても、分野はさまざまです。代表的なものを挙げておきます。
- 回路設計(製品の中の基板や電子回路。弱電が中心)
- 制御設計(機械や設備を動かす制御盤やシーケンサ)
- 強電の設計(モーター・電源・受変電など大きな電力を扱う)
- 計装設計(プラントや工場の計測と制御の機器)
弱電か強電かでも、扱うものは大きく変わります。ただ、私が話を聞いてきた電気設計の方は、分野を問わず忙しく働いている印象でした。忙しさの中身は、大きく次の2つです。
電気の技術者が少なく残業が多い
電気の技術者は、どのメーカーでも足りていません。人が少ないので、1人あたりの仕事が増えて残業が多くなります。採用しようにも応募が集まらず、忙しい状態がなかなか変わらない職場もあります。
複数の案件を同時に抱えている
1つの製品や設備だけに集中できる人は多くありません。複数の案件を同時に進めているので、どれかの納期が近づくたびに他の案件の時間が削られます。
制御設計の方は、ここにお客様の工場での立ち上げや、出張先での調整が加わる場合もあります。
一般に挙がるそのほかの理由
インターネットでは、電気設計がきつい理由として次のようなものも挙げられています。
- 納期の直前に不具合の対応が集中する
- ノイズや熱など原因の見えにくい不具合がある
- 機械設計とソフトの間で調整役になりやすい
- 技術の変化が速く勉強が続く
ただ、私が話を聞いてきた電気設計の方から、これらが転職の理由として挙がることは多くありませんでした。実際に多かったのは、忙しさの中で「他にも自分の経験を活かせる場所があるのでは」と考え始める方です。
きつさの原因を3つに分ける

電気設計がきついと感じたとき、すぐに「設計を辞めるか続けるか」で考えると、選択肢が狭くなります。先に確かめたいのは、きつさの原因がどこにあるかです。原因は大きく3つに分けられ、合う行き先もそれぞれ違います。

人手不足が原因なら同じ設計で会社を変える
残業が減らない、複数の案件を1人で抱えているといった理由なら、原因は設計の仕事ではなく人数にあります。電気設計の人数に余裕があり、設計と評価を分担できている会社なら、同じ仕事でも負担は大きく変わります。
製品のサイクルが原因なら業界を変える
毎年のようにモデルチェンジがある製品では、納期に追われる状態が1年中続きます。一般的に、産業機械やインフラ向けの機器は製品の寿命が長く、開発にかける期間も長めです。
身につけた電気の技術は、業界が変わっても持っていけます。
設計そのものが原因なら職種を変える
図面を描くことや、細かい評価を積み重ねること自体が合わないと感じる方もいます。その場合は、電気の知識を持ったまま、生産技術や品質保証など別の職種へ移る道を考えましょう。
電気が分かる人は今どこでも求められる

「他にも経験を活かせる場所があるのでは」という感覚は、合っています。人が足りないということは、電気が分かる人を採りたい会社がそれだけ多いということです。私が支援してきた中で見えた、電気系の技術者の評価をお伝えします。
年収50万〜100万円アップが多かった
私が支援してきた電気系の技術者は、ほとんどの方が転職で年収50万〜100万円上がっていました。中には150万円上がった方もいます。どのメーカーも、電気の技術者を強く欲しがっていたためです。
強電が分かる人は特に希少
基板などの弱電でも、モーターや受変電などの強電でも、電気の技術者は評価されます。その中でも強電が分かる人は数が少なく、年収が上がりやすい傾向がありました。
制御設計は設備のDXで需要が高い
電気設計の中の分野によって、評価に大きな違いはありません。ただ最近は、どちらかというと制御設計の方のほうが少し需要が高いと感じていました。
どのメーカーも設備のDX(デジタル化)を進めていて、設備の制御が分かる人を必要としているためです。回路設計など他の分野の求人が少ないわけではないので、安心してください。
転職回数が多めでも面接に進みやすい
転職回数が多いと書類で落とされやすいのが普通です。ただ、電気系の方は経験の中身次第で「まずは面接で話を聞きたい」となることがよくありました。

国の統計でも、転職で年収が上がる人は少なくありません。転職した人のうち、前の職場より賃金が「増加」した人は40.8%で、30〜34歳に限ると48.6%でした。出典:厚生労働省「令和7年雇用動向調査」(転職入職者の賃金変動状況)。
電気設計の経験が活きる転職先5つ

私が支援した電気設計の方が実際に移っていった先は、大きく5つありました。前の2つは電気設計のまま環境を変える道で、後の3つは仕事を変える道です。きつさの原因と照らし合わせながら見ていきましょう。

転職先① 同じ分野の電気設計
人手不足が原因なら、同じ分野の電気設計のまま会社を変えるのが一番の近道です。扱ってきた製品と近い会社ほど即戦力として見られ、年収も上がりやすくなります。
応募の前に、電気設計の人数と、抱える案件の数をどう分担しているかを確かめておきましょう。
転職先② 製品を変えた電気設計
製品を変えて、電気設計を続ける方も多くいました。製品が変わっても、扱ってきた電気の技術がつながっていれば、経験者として評価されます。
製品を変える転職の考え方は研究開発の転職で製品を変えたい人へでも詳しく書いています。
転職先③ メーカーの生産技術
メーカーの生産技術に移り、工場の設備の導入や改善を担当する道もあります。設備の電気や制御が分かる人は、設備のDXを進めたい工場にとって欲しい人材です。
生産技術の仕事と評価される経験は生産技術の転職先5つと年収が上がる条件をご覧ください。
転職先④ 品質保証
設計から品質保証に回る方もいました。不具合の原因を回路までさかのぼって調べられる人は、品質の部門にとって心強い存在です。
品質管理の方の行き先は品質管理の転職先は?同じ仕事でも年収が上がる理由にまとめました。
転職先⑤ コンサル会社でDXの案件
コンサルティング会社に移り、メーカーのDXを支援する案件を担当する方もいました。現場の設備や制御を知っている人は、机の上の議論だけで終わらない提案ができます。メーカーからコンサルに向いている人や後悔しやすい点は、メーカーからコンサル|後悔しない判断法にまとめています。
一般的に、資料づくりやお客様への説明が仕事の中心になるので、設計とは働き方が大きく変わる点は知っておきましょう。
こうした行き先を一緒に探す転職エージェントは、製造業に強いところを選ぶと話が早く進みます。各社の違いは製造業の転職エージェントおすすめ6社と選び方で比べています。
採用側が電気設計者に見ている点

電気の技術者が求められているといっても、経歴の伝え方で評価は変わります。採用する側と、企業に推薦する担当者が確かめたいのは次の3つです。職務経歴書に書けているかを見直してみてください。
何の製品のどの部分を設計したか
「電気設計を担当」とだけ書かれた経歴書では、担当者は求人と結びつけられません。何の製品の、どの部分の電気を設計したのかを書いてください。
電源回路・アナログ回路・制御盤とシーケンサ・受変電・計装など、設計した部分まで書きましょう。製品と設計した部分が応募先と近いことが、一番の推薦材料になります。
構想から量産までのどこを担当したか
設計と一口に言っても、役割は仕様決め・回路図の作成・試作と評価・量産の立ち上げに分かれています。機械設計の方に多かったのですが、この役割を書き落としている経歴書をよく見かけました。
書き方は機械設計の職務経歴書の書き方で紹介した考え方が、電気設計でもそのまま使えます。
他の部署をどう取りまとめたか
機械設計・ソフト・製造・部品メーカーとの調整は、きつさの原因であると同時に強みにもなります。30代以降の採用では、技術に加えて社内外をまとめる力も見られます。


辞める前に今の職場でできること

電気設計がきついと感じても、今の職場で状況が変わるなら、無理に転職する必要はありません。辞めると決める前に、できることを3つ挙げておきます。試してみて変わらなければ、そのとき動けば十分です。
担当範囲と人員を上司に相談する
1人で抱えている機種の数や、評価にかかっている時間を数字にして、上司に見せてみましょう。電気の技術者が採りにくいことは会社も分かっているので、辞められる前に手を打とうとするはずです。
資格は経験の裏づけとして使う
電気主任技術者(電験三種)や電気工事士は、強電の知識を示す材料になります。ただし、設計の採用でまず見られるのは資格より、何を設計してきたかという経験です。
資格の勉強に時間を使う前に、今の仕事で担当できる範囲を広げるほうが、評価につながりやすいでしょう。
辞める前に市場での評価を聞く
残るか迷っているときほど、自分の経験が社外でどう見られるかを知っておくと判断しやすくなります。エージェントとの面談は、転職を決めていなくても受けられます。動けずに迷っている方は転職したいけど動けない30代技術者の最初の一歩も読んでみてください。
電気設計の転職に合うエージェント

電気設計の転職では、電気の話が通じる担当者に当たるかどうかで、紹介される求人の質が変わります。選び方のポイントと、製造業に強いエージェントを紹介します。
電気の話が通じる担当者を選ぶ
「産業用モーターの駆動回路」「搬送設備の制御盤」「工場の受変電設備」と伝えて、どんな仕事かすぐに分かる担当者なら、経験に合う求人を探してもらいやすくなります。話が通じないと感じたら、担当を変えてもらって構いません。
担当者の見分け方は製造業の技術者に合う転職エージェントの選び方にまとめています。
設計の人数と残業の実態を確かめてもらう
電気設計の人数・評価の担当が別にいるか・納期前の残業の量は、求人票からはほとんど分かりません。同じつらさを繰り返さないために、応募の前に必ず確かめたい点です。企業と直接やり取りしているエージェントなら、こうした点を聞いてもらえることがあります。
製造業に特化したエージェント
電気設計の転職なら、メーカーと製造業に特化したメーカーズジョブから始めると話が早いでしょう。製造業の業務を分かっている担当者が多く、電気設計の経験をどの業界で活かせるかも相談しやすいはずです。
愛知・岐阜・三重で働きたい方は、東海3県に特化したR4CAREERもあわせて登録しておくと、地元のメーカーの求人を比べやすくなります。
電気設計のよくある質問

最後に、電気設計・回路設計の仕事と転職について、よく出る質問にお答えします。
回路設計はやめとけというのは本当ですか
やめたほうがいいとは言えません。きつい面はありますが、転職の市場では電気の技術者はとても強い立場にいます。きつさの原因が職場にあるなら、設計を辞めるより先に環境を変えることを考えてみてください。機械設計のきつさと行き先は、機械設計はやめとけ?きつい3つの理由にまとめています。
弱電と強電で評価は違いますか
どちらも求められています。私が見てきた限りでは、強電が分かる方のほうが数が少なく、年収が上がりやすい傾向がありました。電気工事士の資格を持っている方は電気工事士がメーカーで活きる3つの転職先も参考にしてください。
電気設計の分野で需要は違いますか
大きな違いはありません。ただ最近は、設備のDXを進める企業が多いので、制御設計の方のほうが少し需要が高いと感じていました。回路設計の求人も十分にあり、強電が分かる方は数が少ないぶん特に求められています。
転職回数が多くても大丈夫ですか
電気系の方は、転職回数が多めでも面接に進めることがよくありました。ただし、年齢のわりに回数がかなり多いと、どの職種でも厳しく見られます。それぞれの会社で何を設計したかを、具体的に書いておきましょう。
30代でも業界を変えられますか
30代なら十分に間に合います。転職回数が少ない30代は、長く働いてくれそうだと安心されやすく、悪い印象は持たれにくいはずです。面接の準備は製造業の技術職の面接で聞かれる4つの質問を参考にしてください。
転職すると年収は下がりませんか
電気設計のまま移るなら、下がりにくいのが一般的です。最近は、今の年収より上げて内定を出す企業も多くなっています。希望年収の伝え方は年収交渉はタイミングが勝負で詳しく書いています。
電気設計がきついと感じたときのまとめ

電気設計や回路設計のきつさは、電気の技術者が少なく、残業と複数の案件が1人に集まることから来ています。人が少ないからこそ、電気が分かる人はどこでも求められています。
- きつさの中心は残業と複数の案件の掛け持ち
- 原因は人手・製品のサイクル・設計そのものの3つ
- 電気は引く手あまた。制御設計はDXで特に需要
- 行き先は電気設計2つ・生産技術・品質保証・コンサル
- 採用側は製品・担当した段階・取りまとめを見る
- 辞める前に担当範囲の相談と市場での評価を
電気の技術は、手放すにはもったいない武器です。転職全体の進め方は技術者の転職は何から?流れ6ステップにまとめました。一人で抱え込まず、製造業に詳しい担当者に、自分の経験がどう見られるかを一度聞いてみてください。

